今回は歴代のオリンピック卓球競技の歴史を紐解いてみたいと思います。
卓球競技は1988年ソウルオリンピックより初めての正式種目となりました。
知らなかった世代の方からすればいかがでしょうか?33年前ですね。
卓球の発祥は19世紀のイギリスと言われていますが、約100年を経てオリンピックの種目になりました。
そんな卓球競技。
ご存じの方も多いと思いますが、当時は 38ミリボールで21点マッチ・3ゲームマッチでした。
また卓球はソウルオリンピック競技全競技を通じて4位の人気だったそうです。
今回はそんな卓球競技の男子シングルメダリストを順に追っていきたいと思います。
知っている選手・好きな選手・知らなかった選手の情報をご覧になって、より卓球を好きになる人が増えれば幸いです。
各オリンピックの決勝戦をyoutube等から引用させて頂きました。
当時の映像を現代でも見る事が出来るなんて、幸せでしかないですね。
ありがとうございます。
長丁場になりますが、どうぞお楽しみください!
■1988ソウルオリンピック
1位劉南奎 2位金琦澤 3位リンド
初のオリンピック金メダリストは劉南奎。
彼は 天翔ける龍と呼ばれ、 小柄ながら韓国式のフットワークを確立し、大活躍されました。
このころは、シェーク両面表の滕義選手を筆頭に中国の表速攻が世界を席巻していた時代です。
表ファンを唸らせる時代だったんですね。現代では少し考えにくいかもしれません。
もともと強かったバックの技術に、日本式のフォアドライブを採用。強靭なフットワークで所せましと駆け巡ったとも言われ、このころの日本の卓球の強さもうかがえますね。
往年のレジエンド達の試合をどうぞご覧下さい。
ソウルオリンピック決勝 劉南奎vs金琦澤
■1992バルセロナオリンピック
1位ワルド ナー 2位ガシアン 3位金擇洙 ・馬文革
キング・オブ・テーブルテニス・球聖とも称されるワルドナーが初優勝しました。現代にファンも多い大人気選手です。彼の試合は毎回スウェーデンの国王が観覧に来るほど、国を挙げてのヒーローでした。
決勝を行ったは音速のフットワークと呼ばれ、常にボールの頂点前を捉えていたガシアン。バックより明らかにフォアといった、男性陣あこがれの戦型ではないでしょうか。男くさい・泥臭い・そしてかっこいい選手です。
馬文革(中国)が銅メダル。意外にもこれが中国男子史上初のメダルです。ここから、中国の時代が始まっていくのですね。
また、この大会のみ3位が二人います。もう一人は金 擇洙(韓国)。当時世界一のフォアハンドドライブと言われ、日ペン男児は金擇洙か柳承敏 かのどちらかにあこがれていた方も多かったのではないでしょうか。
バルセロナオリンピック決勝 ワルドナーvsガシアン
■1996アトランタオリンピック
1位劉国梁 2位王涛 3位ロスコフ
劉国梁が初優勝。現在は中国卓球協会会長さんです。
独特のフォームから繰り出されるサーブ、フォア・バックともに早い打点が特徴です。その実績から史上最強の卓球選手という呼び名も高い方です。
しかし、来る2000年にルール改正が行われ、40ミリボールや表ソフトラバーの改正、サーブのルールが変更され、まさに龍国領殺しと言われました。それほど強かったと世界から警戒されていたともいえるのでしょう。
表ソフトの選手は参考にされた方も多いはず。またこれも余談ですが、当時の中国の体育館はどこもワックスが強くあまり動かない戦型が生まれやすかったとも言われています。
準優勝の王涛もバックが表ソフトでした。世界で表ソフトが席巻していましたね。日本の田崎選手もペン表で活躍していました。世界選手権での王涛との激戦を覚えている方もいるはず。田崎さんは漫画ピンポン ペコのモデルともいわれていますね。個人的には田崎さん+劉国梁でペコなのではないかなぁとも思っています。3位はドイツのロスコフ選手。
男子はここから中国の時代が始まりますね。
アトランタオリンピック決勝 劉国梁vs王涛
■2000シドニーオリンピック
1位孔令輝 2位ワルドナー 3位劉国梁
優勝は孔令輝。ここにきてシェーク裏裏の時代が始まっていきます。決勝のワルドナー戦をご覧いただくとわかると思いますが、バック対バックの展開がとても多く、さらにその技術の幅が広がっていきます。バックドライブという概念が広がっていったのもこのあたりではないでしょうか。
孔令輝選手は切れたツッツキとその正確無比な両ハンドから【精密機械】との異名をとりましたね。
あのバックサーブを真似した方も多いのではないでしょうか。
先ほど記述したようにここからボールも大きくなりスピードより回転やコースのウェイトが多くなってきています。素晴らしい決勝戦ぜひご覧ください。
第3位は 劉国梁。ルール改正に本当に苦労されたと思います。
シドニーオリンピック決勝 孔令輝vsワルドナー
■2004 アテネオリンピック
1位柳承敏 2位王皓 3位王励勤
中国の分厚い壁を打ち破り柳承敏が優勝しました。
キムテクスを彷彿とさせるパワードライブと王皓の裏面攻撃の対決。
このあたりから、裏面の可能性を引き出し、その第一人者として王皓が大活躍し、どのゲームもシーソーゲームになるも、最後は柳承敏の回り込みがさく裂しゲームセット。40ミリボールでこのスピード・・。
まさに息をつく暇もないほどのスピード勝負をとくとご覧ください。
また世界ランキング1位を長く守り、抜群の強さを見せていた王励勤。
2王1馬とも称されていましたが、彼をもってしてもオリンピック金メダルは果てしないんですね・・。
アテネオリンピック決勝 柳承敏 vs王皓
■2008 北京オリンピック1位馬琳 2位王皓 3位王励勤
本場中国で行われた北京オリンピック。2王1馬が大活躍です。シドニーオリンピックの際に、シェークが全盛期というお話をしましたが、なんのその。
中ペン2人が躍動します。卓球をしている方なら分かると思いますが、レシーブや台上からの積極的な裏面攻撃やツッツキ、プッシュ、時間差や高さ、回転量を変化させたドライブなどその技術の多さに圧巻です。
北京オリンピック決勝 馬琳vs王皓
■2012 ロンドンオリンピック
1位張継科 2位王皓 3位オフチャロフ
卓球の技術の進歩は止まりません。今や当たり前となった「チキータ」を武器に世界を席巻したのが
ロンドンオリンピックメダリスト張継科です。もともと1990年代にコルベル選手(チェコ)が編み出したとされるこの技術を、より攻撃的に実践的に昇華させたのが張継科選手。
やはり卓球は中ペンなのかと感じていた世界を吹き飛ばしました。
張継科といえばどうしても勝利後のパフォーマンスが有名ですが、今回は控えめです。
張継科人気や実力により、チキータやシェイクのYGサービスは一気に卓球の標準技術となりました。またラケットのビスカリアも飛ぶように売れましたね!
そしてこの決勝戦。1ゲーム目から18-16という大接戦。1時間を超える長丁場となりました。
手に汗握る展開をどうぞお楽しみください。
ロンドンオリンピック決勝 張継科vs王皓
■2016 リオデジ ャネイロオリンピック
1位馬龍 2位張継科 3位水谷隼
ここから記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
そうわれらが日本、水谷選手が日本男子初の銅メダルを獲得した試合です。
その水谷選手をもっても届かなかった中国の壁は分厚いですね。
その馬龍選手。世界選手権3連覇やワールドカップ優勝など、輝かし過ぎる経歴の持ち主ですが、
プレーはとてもシンプル。レシーブもチキータやフリックを使う訳でもなく、主体はツッツキやストップです。
ただ、そのシンプルなプレーが研ぎ澄まされ過ぎて、相手はどんどんやることが無くなっていきます。質の高さはもちろん、それをなし得るだけの肉体や感覚があってこそですが、卓球の奥深さを感じますね。
リオデジ ャネイロオリンピック決勝 馬龍vs張継科
■2020 東京オリンピック
1位馬龍 2位樊振東 3位オフチャロフ
さて、最後に今回の東京オリンピック。
実はここでも歴史的快挙を成し遂げたのが馬龍選手です。
ソウルオリンピックから始まった卓球競技初の金メダル連覇となりました。
素晴らしい。そしておめでとうございます。
決勝の相手は神童 樊振東。中国において史上最年少にて世界選手権の代表になった選手です。その溢れんばかりのパワーから繰り出される両ハンドはまさに大砲。チキータの威力や回転量も世界一と言われています。特筆すべきはそのボールの威力はもちろん、それを維持したまま打ち続ける戻りの速さ。どうやっているんだ・・。
一つだけ残念なのが、東京オリンピックのプレーバック動画が見つからなかったこと。。代わりに同カードによる試合をご覧下さい
最後に
いかがでしたか?
少しでも好きな選手やプレー、卓球の歴史が含まれていたら幸いです。
またコメント等で好きな選手やプレー等も教えて下さい。
これからも卓球を楽しみましょう!